2014年2月22日(福島県いわき市)
アクアマリンふくしまに「クウェート・ふくしま友好記念日本庭園」が竣工
2011年の東日本大震災で甚大な被害を受けた、財団法人ふくしま海洋科学館「アクアマリンふくしま」に、クウェート国からの復興支援を原資とした庭園の竣工が始まった。この庭園は、「クウェート・ふくしま友好記念日本庭園」と名付けられ、震災からの復興の、確かな一歩を記念するものとなった。
この日福島県いわき市にあるアクアマリンふくしまで行われた竣工式典には、駐日クウェート国大使アブドゥルラフマーン・アルオタイビ閣下及びジャミーラ夫人、クウェート科学研究所所長ナジ・アルムタイリ博士はじめ、クウェート国と日本国双方の来賓が列席した。
総面積5000平方メートルに及ぶこの庭園には、アラビア語で「サラーム(平和)」と刻まれた鮫川石の記念碑や池のほか、庭園へと導くクズのトンネルや温室が配されることとなった。この温室内では、砂漠のオアシスを模した環境の中で、生きたクウェートの動植物が展示されている。
クウェート国からの資金援助を受けて、アクアマリンふくしまは施設の強化と利用者サービスの向上のための複数のプロジェクトに取り組んでおり、また地域全体の復興にも貢献してきた。この友好記念庭園は、敷地の屋外部分に、様々な自然環境を体験できるエリアを再現しようという里山プロジェクトの一環である。
2012年3月に国賓として日本を訪れたクウェート国首長は、滞在中にこの震災により深厚な被害を受けたこの水族館の復興と、科学技術の振興のためにと、300万米ドルの贈与を発表した。このことは、福島県民への大きな励みとなり、またクウェートと日本両国の間の友情を深めることとなった。
庭園の竣工記念式典に出席した佐藤雄平福島県知事は、祝辞の中でクウェート国首長からのアクアマリンふくしまの復旧のための贈与だけでなく、震災以来福島県の復興を支援してきたクウェート国への謝意を表した。知事は、「アクアマリンふくしまは、福島県の復興の象徴であり、ここに新しく開園する記念庭園は、クウェート国と福島の友好の証です」と述べた。
知事はまた、福島第一原発事故の悲劇に見舞われた福島県の復興に向けた決意を新たにした。「福島から始めましょう。新しい福島を実現するために、皆さんの支援をこれからもお願いいたします」と知事は述べた。2011年3月11日に発生した、マグニチュード9.0の大地震とこれに伴う津波によって、東北地方は1万9千人近くの死者と行方不明者の被害を蒙り、また、福島第一原子力発電所の事故はいわき市の北55キロメートルの場所で発生した。クウェートは、アクアマリンふくしまへの贈与のほかに、震災発生直後に5百万バレルの原油、およそ5億万米ドル相当の贈与を表明しており、この支援は、最も被害が甚大だった福島県を含む東北三県の復興に役立てられている。
アブドゥルラフマーン・アルオタイビ駐日大使は、クウェート国と日本の間の個人レベルでの交流を、特筆すべきものとして称賛した。「我々はクウェート国民として、クウェート国首長の指示により、この地球上の数ある国々の中でも一番の親友である皆さまのお役に立てたことを、とても嬉しく思います。我々の友情の歴史が、いかに深く刻まれているのかを、永遠に知らしめる新たな道しるべとなる、この庭園の竣工式を祝うこの機会に、改めて我々の親密なパートナーシップを讃えましょう。この友情は、我々両国のためになるばかりでなく、世界全体のためにも様々に役立つものと確信しています」と大使は述べた。
「過去数年、日本、クウェートそれぞれ国の様々な団体や個人が、歴史を検証し、未来への可能性を模索してきました。殊に、アクアマリンふくしまとクウェート科学研究所のパートナーシップと協力関係は、過去数十年もの間の、ひととひととの繋がりの遺産です」と大使は述べ、両団体の固い協力関係に焦点をあてた。した。「ここに私は、それぞれの団体の長のおふたりの熱意と行動力を称賛し、おふたりのご尽力によって、この二つの団体が両国国民の尊敬と称賛を集めるまでに至ったのだということを改めて申し上げます」「それでもこの友情を、より大きく育て上げるべく、更なる努力が必要です。アクアマリンふくしま、クウェート科学研究所、そしてクウェート大学など、皆様それぞれのご努力が、我々を前進させてくれるのです」と大使は付言した。
2000年に福島県太平洋沿岸にオープンして以来、アクアマリンふくしまは、あらゆる世代の人々が様々な海の神秘を学習できる場所として人気を博してきた。震災時には人的被害は生じなかったものの、本館を襲った津波により、飼育されていた海洋生物の90パーセントが死滅してしまった。アクアマリンふくしまは震災直後から閉館していたが、4か月後に営業を再開した。
クウェート科学研究所所長、アルムタイリ博士は、同施設は1967年に日本のアラビア石油株式会社によって設立されて以来、日本の様々な施設との学術交流を深めてきた、と述べた。このように深く根付いた二国間交流の歴史が、クウェート国がアクアマリンふくしまへの支援を決定した背景にある、と所長は述べた。
アクアマリンふくしまの安部義孝館長は、1968年から69年にかけてクウェート科学研究所で研究員を務めた経緯がある。式典で館長は、クウェート国首長に対して、寛大な寄付への謝辞を述べ、さらに大使の、クウェート国とアクアマリンふくしま、そして福島県との架け橋としての尽力に謝意を表した。
(記事の原文と写真:国営クウェート通信石神特派員、翻訳:大使館)