2014年10月20日(東京)
対話と人的交流こそが、アラブと日本の関係強化の鍵:クウェート大使、国際法曹協会年次会合で代表スピーチ
「急速に変貌しつつも、絶えず深刻な問題に直面している現代の世界においては、お互いへの尊敬と信頼に基づいて、対話を継続してゆくことがますます重要になっている。それは特定の社会や価値観に対する過剰な偏見や誤解を軽減し、我々の相互理解を深めることにつながる。」
アブドゥルラフマーン・アルオタイビ・クウェート国駐日大使は、IBA東京大会の部会のひとつである「アラブ地域フォーラム」の昼食会の席上、参加者を代表して特別にスピーチに臨み、このように発言した。IBA東京大会とは、国際法曹協会主催の年次会合のことで、今年は10月19日から24日の日程で、東京で開催されている。
IBA東京大会の開会式には、天皇皇后両陛下の御臨席を仰ぎ、安倍晋三総理大臣が歓迎の挨拶を述べた。
スピーチの中で、アルオタイビ大使は、特に中東地域が破壊と人間性に対する犯罪に見舞われている中、このような会合が東京でタイムリーに開催されることは、非常に重要なことだと強調した。
近代史において、アラブと日本は共に手を携えて、お互いに関係のある様々な問題に取り組んできた、とアルオタイビ大使は主張した。それは石油の交易や経済発展にとどまらず、中東地域の安全保障や安定化の問題にも及んでいる。
更にアルオタイビ大使は、異なった社会の間では、相互理解の率直で誠実な対話が大切だとして、その成功例として、日本とアラブ諸国との関係を引き合いに出した。両者の間の友好関係の構築が成功したことの裏には、双方の絶え間ない努力があったはずだ。そこには官、民、教育、文化などのあらゆるセクターが参与しており、人的交流、物質的交流そして価値観の交流をより高いレベルで求めてきたのである。
スピーチを締めくくる前に、アルオタイビ大使はクウェート国と日本の間の特別な交流について触れた。それはそれぞれの国が苦境に立たされた時、具体的には、1990年にクウェート国が当時のイラク政権によって侵攻、占領されてから翌年に解放された時、そして2011年に日本が東日本大震災と津波の被害に遭った時のことである。どちらの時にも、相手国は躊躇なく支援を決意し、しかも支援は事後も継続して様々な形で続けられたのである。
アルオタイビ大使は、法律の専門家である列席者に対して、日本とアラブ世界の知識交流に、人と人のレベルで貢献してくれるよう呼びかけた。このような呼びかけは列席者に感銘を与え、会場は大きな拍手に包まれた。