2016年2月10日(東京)
宮城県、医学生修学基金の設立にあたり、クウェート国の復興支援に感謝

東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県はこの日、「クウェート国友好医学生修学基金」の設立にあたり、2011年の震災以降差し伸べられた、クウェートからの心温まる支援に改めて感謝の意を表した。この基金は、地域の保健医療制度の回復に寄与すべく設立されたもので、90億円に上る基金は、5年前にクウェート国から受けた原油の寄付を原資として、宮城県が設立した162億円の復興基金の一部を活用するもの。

マグニチュード9規模の大地震と、これに引き起こされた津波が、日本の東北地域を襲ってから間もなく、シェイク・サバーハ・アルアハマド・アルジャーベル・アルサバーハ首長の指示により、クウェート国は日本に、原油500万バレル、当時5億米ドル相当を寄贈した。

この日仙台市において、アブドルラフマーン・アルオタイビ駐日クウェート国大使を招いて修学資金設立記念式典が開催された。式典で村井嘉浩宮城県知事は、大震災後にクウェートから差し伸べられた支援につき、心からの感謝の意を表した。東日本大震災は、東北地方を中心に1万8千人もの死者や行方不明者を出した。宮城県は最も多くの犠牲者を出した県で、死者・行方不明者は1万1千人、倒壊したり損害を受けた家屋や建物は、50万棟を数える。

「復興もだいぶ進んでまいりましたが、被害が甚大であった沿岸部をはじめとして、住民生活に不可欠な医療・医師の確保に困っております。このような状態を踏まえ、今年4月に東北医科薬科大学に医学部が設置されることとなりました」と、村井知事は述べた。

「医師が卒業後、宮城に定着するように、クウェート国から日本赤十字社を通じて支援いただいた支援金のうち、90億円を活用し、新たな修学資金制度を創設しました」と、知事は付言した。

この修学資金は、1年に30名の宮城県枠の医学生に対して奨学金を提供するものであり、大学卒業後10年間、県内の指定の医療機関で勤務をすれば、その返済は免除される。

宮城県はまた、クウェート国首長に宛てた記念の盾を大使に託した。この盾には、「この基金は、宮城県の地域医療に貢献する、志の高い医学生を支援するために活用させていただきます。これからも、ふるさと宮城の復興に全力を尽くすことを固くお誓い申し上げ、クウェート国からの支援への心からの感謝の気持ちにかえさせていただきます 」と記されていた。

アルオタイビ大使はスピーチの中で、被災地には、生活や事業を再建している住民もいるが、心と体に受けた傷に、なお苦しんでいる人たちがいる、と指摘した。「村井知事は私に、被災地には、医療施設が足りない、それは医療従事者が不足しているからだ、と教えてくれた。そして今日、この深刻な懸念に対する一つの明確な答えが、形となってここに提示された」と、アルオタイビ大使は述べた。

アルオタイビ大使はさらに、復興基金の多くを、医学教育に捧げる宮城県の決断を称賛し、それは被災者の苦痛を軽減し、日常生活を取り戻すための歩みをより一層進めるものとした。日本とクウェート国との真の友情の絆は、クウェート国首長の英断により、被災地への原油の提供という目に見える形となった、と大使は述べ、「震災後にクウェート国が拠出した支援は、過去50年以上にわたり、日本の皆様がクウェート国民に差しのべてくれた支援に対する、ほんの小さな感謝のしるしだ」と、付言した。

クウェート国友好医学生修学基金の運営主体となる、東北地域医療支援機構代表理事の高柳元明氏は、機構がクウェート国、日本赤十字社、そして宮城県から受けた支援への感謝の意を表した。「(大学医学部は)現在、4月の開学に向けて、鋭意準備を進めております。大学では、豊かな人間性を備え、生命の尊厳について深い理解を持ち、患者さんに寄り添い地域医療に貢献できる医師を要請したいと考えております」と、高柳氏は述べた。高柳氏は、東北医科薬科大学の理事長でもある。

式典後、アルオタイビ大使は東北医科薬科大学のキャンパスを訪れ、施設を視察した。

(記事の原文と写真:国営クウェート通信、翻訳:大使館)