2014年4月6日(宮古)
クウェート、被災した三陸鉄道の全線復旧を支援

日本の東北地方にあり、震災で被災した鉄道を支援したクウェート国に、日本の閣僚からも改めて謝辞が寄せられた。

三陸鉄道が震災から3年余りの後に完全復旧を遂げるにあたり、クウェートからの支援により新しい車両を導入したことから、このような謝辞に至った。

東京からおよそ480キロに位置する岩手県宮古市の宮古駅で行われた、三陸鉄道全線運行再開記念式典において、根本匠復興大臣は、「1984年の開業以来、三陸鉄道は地域の学生や高齢者の方々の足として、さらには観光の目玉としても、重要な役割を果たしてきた。クウェートからは、多大なるご支援をいただいたことに、心から感謝申し上げる」と述べた。根本大臣はまた、安倍晋三内閣は、被災地での復興事業を加速させることを最優先課題に挙げていると強調した。

三陸鉄道は、岩手県の太平洋沿岸の全長107.6キロメートルを運行する。北リアス線と南リアス線の2路線ともに、地域住民の生活に必要不可欠な鉄路である。しかし2011年3月11日に起こった、マグニチュード9.0の大地震と、それに伴う津波によって、車両、線路、駅舎が破壊され、運休を余儀なくされていた。

太田昭宏国土交通大臣は、国営クウェート通信に対し、2011年以来最大の支援を惜しまなかったクウェートに対し、感謝の意を表した。「あの壊滅的な震災から3年が経ち、三陸鉄道は完全に復活した。鉄道の再開は、地域住民にとって、他の交通手段の復活とはまた違う、特別な喜びをもたらすもの。クウェートからの金銭的な支援のおかげで、三陸鉄道はこのような素晴らしい車両を購入することができた。私たち日本国民は皆、クウェートにとても感謝している」。前日の南リアス線の全線運行再開に続いて、この日北リアス線で10.5キロメートルの区間が運行を再開したことで、待ち望まれた三陸鉄道の完全復活は実現した。

全線運行再開を記念して、三陸鉄道は新たに5台の車両を導入した。新車両は1台あたり1億6千万円(160万米ドル)で、その中にはレトロ車両やお座敷車両も含まれている。新車両はクウェートからの支援により購入された。昨年4月には、南リアス線の部分運行再開の際に、クウェートからの支援で、三陸鉄道は3台の新型車両を購入している。

アブドゥルラフマーン・アルオタイビ駐日クウェート国大使とジャミーラ夫人は、大臣や岩手県下の地方自治体の関係者、地域住民らと共に、三陸鉄道の全線運行再開を祝った。式典において大使は、これを「復興の確かな一歩を新たに刻む」ものとし、この歴史的な式典に参加できたことへの感謝の念を表した。喪失と破壊の苦しみは、まだ続いているとしながらも、大使は、被災地の人々には、より輝かしい未来を切り開いてゆく情熱とちからが備わっているものと確信していると述べた。「私の国の国民も政府も、親愛なる日本の友である皆様へのご支援を続けていくと、改めて誓う。私たちのことを、いつでも一緒にいることを約束した親友であると、思っていてください」と、アルオタイビ大使は強調した。

クウェートからの支援への感謝のしるしとして、三陸鉄道株式会社理事長を兼任する達増拓也岩手県知事より、記念レールの置物と、車両の模型の贈呈があった。達増知事は祝辞の中で、クウェートからの支援と関係者全員の多大なる協力に感謝し、運行再開記念列車となる「お座敷車両は、クウェート国の支援により新しく作られた」と言及した。

2011年の震災後、クウェート国首長シェイク・サバーハ・アルアハメド・アルジャーベル・アルサバーハ殿下の指示により、クウェート国は500万バレルの原油、5億米ドル相当を日本に贈呈した。
この原油を売却した資金が義援金として、最も震災の被害が大きかった3県に分配された。
岩手県はそのうちの1県。

クウェートへの御礼を示す、「クウェート国からの支援に感謝します。」と日本語、英語、アラビア語で書かれたメッセージが、全8両の各車両の乗車口横に貼付され、また各車両ともその前後に、クウェート国国章が掲げられている。クウェートからの支援は、8両の車両購入のほかに、被災した5つの駅舎の再建や、他の施設の整備に役立てられた。

三陸鉄道の被害は、橋脚や駅舎を含めて全線で320ヶ所近くに及び、その復旧にかかった費用は、およそ92億円(9000万米ドル相当)。
式典後、大使夫妻と他の来賓は新たに導入された「お座敷列車」での45分間の旅を楽しんだ。
この列車の導入を祝う、記念乗車券も販売された。

(記事の原文と写真:国営クウェート通信石神特派員、翻訳:大使館)