内閣
憲法第52条の規定により、行政権は首長、内閣および各省大臣に委ねられている。また、閣僚の人数は憲法第56条により国民議会議員数の3分の1以下と定められているので現議員定数50名の3分の1以下、すなわち16名が閣僚の最大数となる。
首長が首相を含めた閣僚の任命・罷免権を有しており、首長がまず首相を任命し、次に首相の提言に基づき各大臣を指名する。首相職は皇太子が兼務するのが慣例となっている。大臣は民意を反映するため国民議会からも選出されることになっている。また、議員大臣以外の各大臣も国民議会において投票権を有している。
首相と全閣僚は国政につき首長に対し連帯責任を負うとともに各閣僚は自己の所管する省業務につき首長に対し責務を負う。首長は閣僚を通じ、行政権を行使することとなる。
1999年7月3日に行われた第9期国民議会総選挙を受けて、憲法第57条の規定に従い内閣が組閣されたが2001年1月に総辞職した。閣僚数は16人、新人が9名入閣し、内1名が国民議会議員である。同年、2月にサアド皇太子兼首相の第11次内閣が再組閣された。サバーハ家出身の閣僚は、サアド皇太子兼首相、サバーハ アル・アハマド アル・サバーハ第1副首相兼外務相、ジャーベル ムバーラク アル・ハマド アル・サバーハ副首相兼国防相、ムハンマド ハーリド アル・ハマド アル・サバーハ副首相兼内務相、アハマド アブドッラー アル・サバーハ通信相、アハマド ファハド アル・サバーハ情報相・石油相代行の計6名となっている。
政府の主要政策としては、まず国防・安全保障体制の確立が挙げられる。従来からクウェイトは周辺諸国の重圧を受けてきたが、特に1980年代に入ってから外部の脅威が顕著となってきた。そして遂にはイラクのクウェイト侵攻・占領という国家存亡の危機に立たされたのである。しかし、国防についてはクウェイト一国ではどうすることもできず、湾岸戦争後はアメリカ、イギリス、フランスなど欧米諸国の軍事力に頼っているのが実情である。
経済面では、1999年11月に開設された「クウェイト自由貿易地区(Kuwait Free Trade Zone)」の管理・運営、国営企業の民営化などがある。また、自国民の人的資源開発、外国人労働者の自国民労働者への置換(クウェイタイゼーション)促進、若年層の雇用創出なども政府が今後とも取り組んでいかなければならない重要課題である。さらに、建国以来続けている、国民に対する高福祉政策の維持も忘れてはならない重要政策の1つである。
このように山積する諸問題に対処するため、各種の委員会や評議会が設置されている。例えば、石油坦当の「最高石油評議会」、労働問題坦当の「高等労務諮問委員会」などである。それぞれの専門分野における長期政策の策定・提言などを行い、政府の円滑な国政遂行に関与している。これら組織のメンバーは首長により任命される。